危険物倉庫とは、爆発や引火といった危険性のある物質を保管する倉庫のこと。この危険物倉庫を建設する際に気をつけたいポイントや、実際の建築事例についてご紹介します。
危険物保管庫とは、消防法などの法令で「危険物」と定義される物質(可燃性・爆発性・毒性などのあるもの)を安全かつ適切に保管するための専用施設・設備のことです。主に化学工場、研究所、製造業、建設業などで使われています。
長期使用を見越して温度を自由に調節したりオーダーメイド設計が可能
保管する危険物に合わせて、温度を自由に調節可能な倉庫を提案。特定行政庁や指定確認検査機関への申請など行政手続きもサポート。
最短2か月で建設可能で簡単に縮小、解体できる
2坪以下のスペースで保管し、移設ができる少量危険物倉庫
軽量鉄骨ユニットハウスに特化。第4類引火性液体を保管でき、完成品を製造工場から直接納品するため素早く安全に施工・設置します。
※Googleで「千葉 危険物倉庫」と検索した結果から、危険物倉庫を提供しており、施工事例を掲載している、建築会社を10社をピックアップ。その中から下記の条件で3社を選出。(調査日:2024年3月29日)
万葉建設:自由設計で危険物倉庫の建築に必要な、設備も搭載可能なEEEシステム建築を提案することをHPに明記
太陽工業:テント倉庫メーカーの中で最も多く危険物倉庫の事例を掲載
ナガワ:ユニット式少量危険物倉庫の事例が最多
システム建築 | テント倉庫 | ユニット式倉庫 | |
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メリット |
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デメリット |
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こんな会社におすすめ | 安全性を重視し、長期的に危険物を保管したい | 一時的に爆発性や毒性がない物質の保管をしたい | 1坪~3坪の小スペースに保管したい |
危険物倉庫とひと口に言っても、保管する危険物によって倉庫建築の基準、選ぶべき工法が異なります。自社にぴったりな工法を選ぶことが重要です。
倉庫・工場の建築に特化した、EEEシステム建築を提供している万葉建設。危険物倉庫や、温度調節が必要な冷凍冷蔵倉庫など、要望に合った倉庫をオーダーメイド感覚で依頼できるのが特徴です。また、自社内に土地探しを専門とするチームがあり、豊富な土地情報を保有。用地の選定から取得までサポートしています。
危険物倉庫を建築するには、消防法・都市計画法・建築基準法などで定められた規制を守り、特定行政庁や指定確認検査機関への届出・手続を行う必要があります。こういった複雑な業務についても、万葉建設では行政書士・土地家屋調査士との連携でバックアップ。補助金を利用した建築も支援しています。
塗料製造工場内危険物倉庫の事例
塗料製造工場の敷地内に設置された、危険物倉庫の事例です。危険物倉庫の建築で必須となる、保有空地や保安距離をしっかりと確保。内部は物品を管理しやすい大空間、換気設備についても十分な設備が備わっています。
システム建築でありながら、オーダーメイド感覚で設計・デザインを調整できるのが万葉建設のEEE倉庫。「危険物や法令に合わせて適切な保管環境を実現したい」「長期にわたって利用できる丈夫な倉庫が欲しい」といった企業に向いています。
2005年に創業した万葉建設は、快適な空間づくりを使命のひとつに掲げ、住まいづくり・リフォーム・メンテナンスといった幅広い業務に従事。これまでに培った経験と技術力を活かし、利用者のニーズを踏まえたプラン作成・施工などのサービスを提供しています。
テント倉庫の設計から、申請・施工・メンテナンスまでワンストップで依頼できる太陽工業。規格化された構造で短工期を実現しており、施工条件や工事規模にもよりますが、最短2ヶ月での倉庫建築が可能となっています。また、設備の縮小や解体もしやすいのが特徴です。
テント倉庫をはじめとする膜構造建築物に強い太陽工業では、商品ラインナップも豊富。ベーシックな固定式テント倉庫や大型テント倉庫、外壁に鋼板を用いたハイブリッドタイプなど、「危険物を保管したい」といった用途・目的に合わせて選ぶことができます。
危険物テント倉庫の事例
物流の効率化を目的として、太陽工業のテント倉庫「フレックスハウス」を建築した事例。基礎工事が少ないため、短い工期で倉庫建築が実現しました。
太陽工業のテント倉庫は、短工期での設置が可能となっています。そのため、「事業の拡大などで今すぐに危険物倉庫を設置する必要がある」「工期を短縮して建築コストを抑えたい」といった企業におすすめです。
1992年に能村テント商会としてスタートした太陽工業は、大型膜面構造物(テント構造物)に強みを持つメーカー。自社で膜構造や素材などの研究を行っており、プラン作りから設計・施工・アフターフォローまで、一貫したサポート体制を提供しています。
ナガワが提供するユニットハウス「スーパーハウス」には、第4類引火性液体を保管できる危険物倉庫がラインナップされています。工場で製造された完成品が納品されるため、現場での設置がスムーズ。サイズも1坪タイプから用意されており、少量の危険物保管に適しています。
全溶接鉄骨造の完成品が納品されるナガワの危険物倉庫は、在来工法では難しい、設置計画の変更にも対応しやすいのが特徴。また、危険物倉庫には消防法で定められた設備を備える必要がありますが、ニーズに合わせたオプションでの対応が可能となっています。
少量危険物保管庫の事例
ナガワのユニットハウス、SK-1型を利用した少量危険物保管庫の事例です。延床面積は3.44m2、換気に必要なダクトなどの設備も備わっています。
ナガワのユニットハウスを利用した危険物倉庫は、「少量の危険物を安全に保管したい」「できるだけ工期や予算を抑えたい」といった企業におすすめ。ユニットハウスで移設も容易となっているため、場所を移動する可能性がある場合にも適しているでしょう。
ユニットハウス・システム建築・モジュール建築などを取り扱っているナガワは、軽量鉄骨ゼネコンを目指しているメーカー。大型の商業施設や工場、小型の倉庫や店舗など、さまざまな製品の企画・設計・製造・販売を手がけています。
京葉コンビナート内に立地し、危険物倉庫や毒劇物倉庫、定温・低温・保税機能を備えた多機能倉庫を展開しています。危険物倉庫は5,270㎡の広さを誇り、消防法で定められた第二類・第四類・第五類の危険物に対応。原料の一時保管から製品の全国配送まで、コンビナート内工場のサプライチェーンを支える総合物流拠点として活用されています。定期修繕時など一時的な大量保管にも柔軟に対応可能です。
鈴江コーポレーションが運営する姉ヶ崎危険品倉庫は、消防法第4類危険物および毒劇物・指定可燃物の保管に対応した専用施設です。ドラム缶やIBC容器、カートン類など多様な容器での受け入れが可能で、危険物取扱資格を持つスタッフが常駐し、荷役から出荷までの全工程を厳格に管理しています。
鈴江コーポレーションが展開する長浦危険物倉庫は、消防法第4類(第1~第4石油類・アルコール類)や毒劇物の保管に対応する施設で、危険物専用倉庫を2棟構えています。多様な形状の容器(ドラム缶、IBC容器、カートンなど)に対応し、取り扱いには有資格者が対応。高い専門性と安全性を兼ね備えたオペレーションで、化学品や可燃物の安定保管と効率的な物流を支えています。
NRS株式会社の千葉物流センターでは、医薬品や化粧品に含まれる危険物・毒劇物の適正な保管・管理に対応した高度な倉庫機能を備えています。管理薬剤師が常駐し、GMP・GDPに準拠した運用体制により、コンプライアンスと安全性を両立。消防法上の危険物や高圧ガスにも対応し、原料・製品の保管から通関・輸出入・配送まで一貫したサービスを提供しています。特に医療・化学分野のニーズに応える体制が整っています。
袖ヶ浦エリアに拠点を構えるNRS株式会社の物流倉庫は、医薬品や化学品に含まれる危険物の取り扱いに特化した設備と体制を備えています。毒劇物や高圧ガス、消防法に該当する危険物にも対応し、専門知識を持つスタッフが厳格な管理のもと作業を実施。高い安全基準と法令順守を徹底しながら、保管から流通までを効率的に支える物流インフラとして機能しています。
丸善株式会社の柏事業所は、北関東4県へのアクセスに優れた白井工業団地内に位置する内陸型の総合物流センターです。危険物倉庫は第4類に対応する3棟と、希少な第3類にも対応可能な1棟を備え、合計で約18,300本分のドラム保管ができます。さらに、指定可燃物・一般品向け倉庫も保有し、ドラム換算で12,000本分の製品を収容。毒劇物や外貨貨物への対応、バンニング・デバンニング作業も可能な多機能施設です。
丸善株式会社の京葉油槽所は、消防法に準拠した第2類・第4類危険物および指定可燃物を対象とする保税対応のケミカル専用倉庫です。2004年に完成した立体自動倉庫では、約10,000本分のドラム缶を効率的に保管でき、ホストコンピュータによる在庫管理システムを導入。通関機能も有しており、輸出入を含めた複合的な保管ニーズに対応する拠点です。
双日グループに属するエヌアイケミカル株式会社は、液体化学品の安全かつ効率的な物流を支える専門事業者です。消防法第4類・第6類の危険物に対応し、とくに第1石油類に特化したタンク設備を有しています。マルチワークステーションでは詰替・小分けなどの作業にも対応可能で、タンク専用配管やVOC回収装置、大型桟橋なども備え、環境負荷を抑えた高機能物流を実現しています。
株式会社築港の市原倉庫は、多様な危険物の取扱いに対応する総合的な物流拠点です。特に石油化学品を中心とした第1類から第5類までの危険物や毒劇物の保管に強みを持ち、各種資格を有する専門スタッフが業務を遂行。小分けや移し替え、加温、ローリー充填といった特殊作業にも柔軟に対応し、高度な安全管理体制のもとで、安定した物流サービスを展開しています。
丸善株式会社の柏第2事業所は、2022年に開所された高機能型の総合物流センターです。消防法第4類危険物(引火性液体)をはじめ、指定可燃物や毒物・劇物に対応し、さらに5〜25℃で温度管理可能な定温倉庫も備えています。輸出入貨物の保税保管や、ドラム缶単位での大容量保管に対応するほか、一般品との一体運用が可能な構成で、柔軟かつ高度な保管サービスを提供しています。
株式会社ワールド サプライの松戸センターでは、化粧品商材のうちアルコールを多く含む製品など、消防法に定められた第4類危険物の保管に対応しています。とくにフレグランスなどの高アルコール製品は、流通前の一時保管が求められるケースが多く、同社の危険物倉庫ではそれらの厳格な保管基準をクリアした施設で管理が可能です。化粧品業界の物流における安心・安全を支える拠点となっています。
株式会社エクシングの千葉営業所は、危険物に特化した物流拠点として、高度な安全体制と確かな品質管理を強みとしています。千葉第一・第二の2棟の危険物倉庫を保有し、第二倉庫では毒劇物の保管も可能です。有資格者による荷役・保管・配送をはじめ、KYT(危険予知)活動や5S、安全指導を徹底。危険物の入出庫から保管、デリバリーまで一貫管理を行い、化学品・医薬品など多様なニーズに対応しています。
危険物倉庫とは、火災や爆発、環境への悪影響を引き起こす可能性のある危険物を安全に保管するための施設であり、厳格な法的規制に基づいて設計・運営されています。これらの危険物は、消防法に基づいて定義され、第1類から第6類までの6つのカテゴリーに分類されます。たとえば、自己反応性物質を含む第5類(有機過酸化物、ニトロ化合物など)や、酸化性液体を含む第6類(過塩素酸、過酸化水素、硝酸など)があります。
危険物倉庫の建設および運営には、消防法に基づく厳しい規制が適用されます。危険物倉庫の建設・運営は、以下のような基準に従わなければなりません。
危険物倉庫を建設するためには、以下のプロセスを辿る必要があります。
計画段階で所轄の消防署と協議します。
設置許可を自治体に申請します。
許可証が発行された後に着工します。
完成後に検査を申請し、実施されます。
検査を通過した後、完成検査証を受け取ります。
危険物倉庫の運営には、資格を持つ人員が不可欠です。具体的には、施設の規模や取り扱う危険物に応じて、危険物保安監督者を選任し、適切な危険物取扱者を配置する必要があります。これにより、事故の防止と緊急時の対応が確実に行えるようになります。
危険物倉庫の運営には、これらの基準とプロセスを徹底して遵守することが求められ、危険物の安全な保管と人員の適切な管理が最重要となります。
保有空地とは、火災発生時に周囲の建物・木などに火が燃え移らないよう、建物の周りに確保しなければならない空地のこと。延焼防止だけでなく、消防活動をスムーズにするという意味もあります。保有空地の設置は「危険物の規制に関する政令」によって定められており、保管する物質の種類・数量、倉庫が耐火構造かどうかなどの条件によって、空地の広さが決定されます。
保安距離とは、保有空地と同様に「危険物の規制に関する政令」によって定められた基準。危険物の取り扱い・保管を行う設備は、付近の住宅・教育施設・医療施設などに影響を及ぼさないよう、一定の距離を確保する必要があります。たとえば一般住宅であれば10m以上、重要文化財は50m以上、電線については7,000~35,000Vで3m以上という距離を保たなければなりません。
参照元:危険物取扱者になろう!(https://kikenbutsu-study.com/law-hoankyori)
消防法で指定されている危険物とは、「火災発生の原因となり得る危険性の高い物質」のこと。危険物倉庫で取り扱う物質も、消防法で第1類~第6類に分類されています。
参照元:消防法令抜粋(https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/kento147_09_sanko_01_02.pdf)
2019年に竣工された、塗料製造工場内危険物倉庫の建築事例です。保有空地・保安距離ともに十分なスペースが確保されており、倉庫内部の空間にもゆとりを持たせています。
参照元:EEE倉庫公式HP(https://eee-soko.com/works/799/)
同一の敷地内に、危険物倉庫と一般倉庫を同時に竣工した事例です。施工についてはシステム建築と在来工法を組み合わせ、保管する物品に合わせた性能設計を採用しています。
参照元:ガンコ建築公式HP(https://www.ganko.co.jp/works/detail.php?id=34)
危険物倉庫を建築するには、法令に基づくさまざまな基準を満たす必要があります。どのような法令を遵守する必要があるのか、情報をまとめてみましたので確認しておきましょう。
危険物倉庫は、消防法などで定められたルールを守って建築しなければなりません。危険物倉庫における位置・規模・構造についての基準を解説していますので、しっかり目を通しておいてください。
システム建築倉庫の坪単価は約20万円前後。危険物倉庫には厳しい基準が定められており、消火設備の導入などで高額な費用がかかります。なるべく費用を抑えるためには、実績豊富な建築会社に依頼するとよいでしょう。
賃貸型の危険物倉庫は、不動産会社の物流施設などに危険物倉庫を併設した倉庫を指します。危険物倉庫を建てる費用を抑えられるだけでなく、普通品倉庫と危険物を1つのエリアで管理できるなどのメリットがあります。
消防法で定められた数量に満たない危険物のことを少量危険物といます。ここでは、少量危険物に関する基礎知識や少量危険物未満との違い、少量危険物の保管に適した倉庫にはどんな設備が備わっているかをまとめました。
危険物を保管したいとき、少量危険物未満であれば一般的な倉庫でも保管できますが、該当しない場合は危険物倉庫への保管が必要です。ここでは、レンタル利用ができる危険物倉庫について、その特徴を解説しています。
倉庫の耐用年数には「法定」「経済的」「物理的」の3種類があり、構造や使用状況によって異なります。特に危険物倉庫は一般の倉庫と同様に構造別の法定耐用年数(木造15年、RC造38年など)が適用され、長期的な設備投資や安全管理において重要な判断基準となります。詳しくはこちらをご覧ください。
危険物倉庫には、保管量に応じて「大規模危険物倉庫」と「少量危険物倉庫」があり、大規模倉庫では高い安全対策が必須です。少量倉庫はコストや運用の柔軟性に優れ、ユニット型・コンテナ型・テント型など用途に応じた選択が可能。さらに、屋内外やタンク式など貯蔵方式にも違いがあります。
危険物倉庫では、火災や爆発のリスクを抑えるため、温度管理が極めて重要です。高温による可燃性ガスの滞留や、温度変化による危険物の品質劣化を防ぐため、空調設備や監視体制の整備が求められます。確認方法として、IoTセンサーとBMS連携などが挙げられます。
危険物を扱う製品は、消防法の分類や温度・湿度管理、毒劇物の取扱基準など、多岐にわたる規制や条件を満たす必要があります。そのため、既存の危険物倉庫では保管条件が合わず、十分な環境を確保できないケースも少なくありません。
自社の物流課題にフィットした環境を確実に整えたい場合は、新たに危険物倉庫を建築する選択肢を検討しましょう。
千葉のシステム建築業者3選
危険物倉庫向け
EEE倉庫(万葉建設)
ごみ・廃棄物処理場向け
鵜沢建設
加工所、作業所兼倉庫向け
O企画
※Googleで「千葉 システム建築」と検索した結果から、システム建築を提供しており施工事例を掲載している、千葉県にある建築会社を14社をピックアップ。その中から下記の条件で3社を選出。(調査日:2024年3月29日)
万葉建設:自由設計で危険物倉庫の建築に必要な、設備も搭載可能なEEEシステム建築を提案することをHPに明記
鵜沢建設:国際標準規格ISO9001、環境ISO14001を取得しリサイクルセンターの実績が最も多い
O企画:公式HPで加工所、作業所兼倉庫の実績が最も多い