消防法で定められた危険物を、適切に保管するための危険物倉庫。この危険物倉庫を建築するためには、法令による基準を守らなければなりません。その内容をチェックしていきましょう。
消防法上の危険物とは、引火性や発火性、酸化性など、火災の発生または拡大のおそれがある物質を指します。危険物倉庫とは、これらの物質のうち、政令で定める「指定数量」を超えて貯蔵または取り扱う場合に、消防署長の許可を得た上で設置される貯蔵所のことです。数量規制は「指定数量の倍数」で管理され、貯蔵や取り扱いの量を指定数量で除算した値が1以上となった時点で、消防法第10条に基づく施設の要件が適用されます。こうした規定により、危険物が適切に管理される環境が法的に担保されています。
指定数量は、危険物の種類ごとに政令で定められた基準量であり、消防法第9条の3において「危険物についてその危険性を勘案して定める数量」と定義されています。施設における危険物の貯蔵量または取り扱い量を、品目ごとの指定数量で割ることで得られる「指定数量の倍数」が1以上になると、それ以上の貯蔵・取扱いは許可を受けた貯蔵所または取扱所でなければ違法となります。例えば、指定数量200リットルの第4類危険物を400リットル保管すると、倍数が2となり危険物倉庫の要件が適用されます。この倍数規制によって、数量に応じた技術基準や届出・管理要件が自動的に適用される仕組みとなります。
一般倉庫は多種多様な物品の保管を想定した建築基準法上の倉庫である一方、危険物倉庫は消防法に基づき設置される貯蔵所であり、扱う物質の性質に応じた耐火構造や空地・距離基準、排出・換気設備、消火・警報設備などの厳密な技術基準を満たす必要があります。一般倉庫では許可不要な数量の可燃物も、危険物倉庫では指定数量を超えた場合に許可が必要となるため、建築確認申請後の消防機関への許可取得手続きや完成検査が必須です。さらに、危険物倉庫では危険物取扱者の配置や定期点検、予防規程の作成など、運用管理面でのソフト基準も強く求められます。
危険物倉庫を設計・建築する際には、以下のような法令に基づく必要があります。正しく届出を行わないと、法律違反になることもあるので注意しましょう。
用途地域とは、都市計画法によって定められた13種類のエリアのこと。この中で、危険物倉庫を建築できるのは「工業地域」「工業専用地域」となっています。ただし、保管する危険物の量が規定以下の場合は「準工業地域」、同じくごく少量の火薬・石油・ガスなどであれば「第二種住居地域」「準住居地域」「近隣商業地域」「商業地域」への建築も可能。その際には、周辺住民や自治体への確認が必要です。
保有空地とは、危険物倉庫の周囲に確保しなければならないスペースのこと。火災発生時に周辺の建物や木々などへの延焼を防ぐ、スムーズな消火活動を妨げない、といった意味合いを持っています。保有空地の幅については、危険物の種類ごとに定められた数量によって変わってくるため、事前の確認が必要です。
危険物倉庫の建築にはさまざまな法令が関与してきますが、従業員や周辺住民の安全、環境を守るために必要なものです。関係各所への届出も必要となるため、法令のチェックから届出のサポートまで依頼できるような業者を選ぶと安心でしょう。
千葉のシステム建築業者3選
危険物倉庫向け
EEE倉庫(万葉建設)
ごみ・廃棄物処理場向け
鵜沢建設
加工所、作業所兼倉庫向け
O企画
※Googleで「千葉 システム建築」と検索した結果から、システム建築を提供しており施工事例を掲載している、千葉県にある建築会社を14社をピックアップ。その中から下記の条件で3社を選出。(調査日:2024年3月29日)
万葉建設:自由設計で危険物倉庫の建築に必要な、設備も搭載可能なEEEシステム建築を提案することをHPに明記
鵜沢建設:国際標準規格ISO9001、環境ISO14001を取得しリサイクルセンターの実績が最も多い
O企画:公式HPで加工所、作業所兼倉庫の実績が最も多い